石原氏の顔はつぶせない… 橋下氏が都知事選で東国原氏に乗れないワケ 

ZAKZAKニュース 2012.11.08

石原慎太郎氏の辞職に伴う東京都知事選(29日告示、12月16日投開票)で、「日本維新の会(維新)」代表である大阪市の橋下徹市長が悩んでいる。東国原英夫・前宮崎県知事と、猪瀬直樹副知事が出馬した場合、どちらを支援するかを明言していないのだ。政治的計算や心理的ハードルから、親交のある東国原氏に丸乗りできない、との指摘もある。

 「東国原氏が出馬するなら、猪瀬氏をすぐ支援するわけにはいかない」

 橋下氏は3日、石原氏らと京都市内で会談した際、都知事選の方針についてこう語ったという。ただ、猪瀬氏については「都知事にふさわしい」と述べており、完全な東国原氏支持というわけでもない。

 在阪ジャーナリストは「最大の理由は、石原氏への配慮だ。都知事選は衆院選の前哨戦の位置づけで、石原氏が後継指名した猪瀬氏が落選したら、石原氏の顔がつぶれる。自民党の情勢調査で『猪瀬50ポイント、東国原氏10ポイント』と出たため、勝ち馬に乗りたいという心理も働いているのだろう」と分析した。

 そもそも、石原氏と東国原氏は「犬猿の仲」として知られている。

 2007年の都知事選で石原氏が3選を果たした後、東国原氏がHP上の日記で「東京の傲慢は復活した」などと書き、石原氏は「田舎モンが東京のことをとやかく言うな!」と応戦した。

 また、昨年4月の都知事選では、事前の情勢調査で「東国原都知事」が現実味を帯びたため、退任を示唆していた石原氏が急きょ出馬を決断したといわれている。

 維新内部で、東国原氏への不信感が広がっている。維新幹部はいう

 「昨年12月の大阪ダブル選挙で、松井一郎知事の誕生を阻止したい県議が東国原氏擁立で一時動いた。これに松井氏側が不快感を持っている。また、維新の討論会で、東国原氏が他のブレーンに比べて政策を総花的、抽象的にしか語れず、評価が下がっている」

 自民党関係者によると、維新の支持率が急落したことを受け、東国原氏側が自民党国会議員に接触して、都知事選で支援を受けられるか感触を探ってきたという。

 次期衆院選と都知事選という2大選挙をにらみ、激しい駆け引きが続いている。