市議会、橋下市長の生命線に狙いつけ「口封じ」 2013年12月16日

読売新聞 2013/12/16

 今大阪市議会では、橋下氏の最大の武器でもある弁舌も影を潜めた。

 各会派が市長である橋下氏の答弁をほとんど求めず、局長級以下の市幹部ばかりを呼んで審議を進めたからだ。

 就任当初の昨年2〜3月議会では、橋下氏は六つある常任委員会を「はしご」し、1日10回以上、答弁に立つ日もあった。昨年2月には、国歌起立条例について「改めて条例を制定する必要があるのか」と問う野党市議に対し、「国歌を歌う時の起立に異論を唱えるのは日本だけ。まさにガラパゴスだ」「どういう現場でもルールは必要。(条例に反対するなら)ここで『立って歌わなくていい』って言い切ってくださいよ」とたたみかけた。  丁々発止のやりとりはニュースとなり、メディアが大きく報道した。

 しかし、今議会では、1日1〜3回程度の答弁にとどまることがほとんど。呼ばれても、不祥事が相次いだ公募制度の説明などに追われた。市立大と府立大の統合に向けた議案が常任委員会で否決された11月22日、橋下氏は「僕自身、議論に呼ばれていない。市議会のやり方は特殊だ」と、記者団に不満を漏らした。

 「口封じ」とも言える野党側の作戦。ある自民市議は「テレビカメラの前で話すことが、彼の政治家としての生命線。論理のすり替えで正当性を主張するだけなのだから、わざわざ表舞台に押し上げてやる必要はない」と話す。