大阪都構想:出直し選後、視界不良 除名府議協力に暗雲 橋下市長「勝てば法定協委員交代」 2014年02月14日

毎日新聞 201/02/14

 市長を辞職して出直し選に出馬する橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が、大阪都構想の制度設計をする法定協議会について、委員交代の是非を選挙戦の争点にすると主張している。再選されれば「民意」を背景に、大阪府議会の議決を得て、野党多数の法定協の構成を変えるつもりだ。ただ、議決のために昨年末に維新を除名された府議4人の協力をあてにするものの、見通しは立っていない。争点化に早くも黄信号がともっている。【山下貴史、熊谷豪、林由紀子、深尾昭寛】

 法定協委員は20人。議決に原則参加しない浅田均会長(維新政調会長、府議会議長)を除き、維新9人、野党10人だ。公明党(4人)の協力を失い、維新は劣勢を強いられる。

 橋下氏は「法定協で都構想に反対するのはルール違反だ」と主張。2011年の統一地方選と府知事・市長ダブル選で維新が相次ぎ勝利したとも強調し、「法定協で維新が過半数を持たないのはおかしい」と訴える。

 委員のうち、府・市の首長と府・市両議会議長の計4人は固定枠で、変更の可能性が残るのは両議会の「推薦枠」各8人。両議会とも、慣例に沿って議会の会派構成を基に委員を割り振っている。しかし橋下氏は慣例を切り捨て、府議会に委員交代を求める意向だ。  その戦略は、(1)府議会で他会派2人の協力を得て過半数を握る(2)府議会推薦枠を維新が独占する(3)野党多数の市議会推薦枠で維新が排除されても、法定協は10対9で過半数を取れる??というものだ。

 府議会で協力が期待されているのは、府の第三セクターの株式売却議案に反対して維新を除名された「無所属の会」の4府議だが、実際には消極的な声が強い。ある府議は「市町村合併と同じで、短期間に結論を出せる話ではない」と話し、別の府議は「クビを切られたのに何で協力しないといけないのか」とつれない。

 橋下氏も12日、委員交代について「府議会の手続きなので、そこが政治になる。実現しない場合も出てくるかも分からない」と報道陣に弱気をのぞかせ始めた。

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 ■ことば

 ◇法定協議会の委員

 都構想の制度設計をする法定協議会の委員は法定協の規約で定められ定数20人。委員は(1)首長枠2人(府知事、市長)(2)議長枠2人(府、市議会議長)(3)議員枠16人(府議、市議各8人)。(1)と(2)は該当する役職者が自動的に割り当てられ、(3)の選出は規約で「議会が推薦」と定める。採決では、首長も議員も1票ずつを持つが、法定協会長は原則加わらない