首相、維新との関係に配慮 橋下氏と「ハルカス」見学

日本経済新聞 2014年4月19日

 安倍晋三首相は18日の視察で、日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)に案内され、日本一高いビル「あべのハルカス」を見学した。「アベ何とかというと親近感が湧く。ランドマークになりますね」。首相は橋下氏にこう語り、マスコットキャラクターの熊「あべのべあ」を見ながら「安倍のベア。ベースアップだ」とご機嫌だった。

 首相は集団的自衛権の行使容認に向け、慎重姿勢を続ける公明党との関係を重視。ただ橋下氏とは、かつての勢いがなくなったとはいえ、本来は政策が近い。将来の憲法改正などを視野に良好な関係を保ちたい考えだ。

 政党間協議では自民党と維新の距離が開く。教育委員会を改革する法案や憲法改正の手続きを規定する国民投票法改正案では、公明党の主張を盛り込んでも、野党にすぎない維新の主張はことごとく採用されなかった。維新の中山成彬氏らは18日、官邸に菅義偉官房長官を訪ね、従軍慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めた「河野談話」の見直しを求める約14万人分の署名を渡した。維新幹部は「安倍―菅ラインに期待する」と話す。