「橋下氏の議会招集拒否は違法」閣僚も批判 首相苦慮

産経新聞 7月16日(水)7時55分配信

  二重行政の解消を目指し、大阪府と大阪市を統合・再編する「大阪都構想」をめぐり、橋下徹大阪市長側らと府市両議会側との対立が激しさを増し、市議会側が求める臨時議会の招集を橋下氏が拒否している。これに対し、政府内から15日、批判的な声が出始めた。集団的自衛権の行使容認などをめぐり、橋下氏と良好な関係を維持したい安倍晋三首相らは今後の「間合い」に苦慮しそうだ。

 新藤義孝総務相は15日の記者会見で、橋下氏が臨時議会招集を拒否していることについて「期限内に招集しなければ、明らかな法律違反になる」と指摘。これに対し、橋下氏は市役所で記者団に「形式的には違反だが、違法性はない」との認識を示した。

 地方自治法は、定数の4分の1以上から議会の招集を求められた場合、首長は20日以内に招集しなければならないとしている。ただ、首長が招集しなければ、議長が10日以内に招集するとの規定もある。

 都構想の設計図(協定書)を作る大阪府市の法定協議会が今月3日、約5カ月ぶりに再開された。橋下氏は都構想の反対派を排除し、出席委員11人の全員が推進派の大阪維新の会のメンバーに差し替えられた。

 これに先立ち、府市両議会の自民党など野党は、委員を選び直す条例案を提案するため臨時議会の招集を要求している。

 橋下氏の手法に対し、自民党からも懸念する向きがある。ただ、13日投開票の滋賀県知事選で、橋下氏は自民、公明両党の推薦候補を支持し、選挙戦の最終日には現地入りした。首相や菅義偉(すが・よしひで)官房長官サイドの意向とされるが、推薦候補は惜敗した。政府関係者は、橋下氏との距離感をどうとっていくかについて「悩ましいところだ」としている。