日本経済新聞 2014年7月26日
大阪都構想の制度設計をする法定協議会を巡り、大阪府の臨時議会は25日、野党会派が提案した法定協委員を会派比率に応じて選ぶとする条例案を否決した。野党は同じ内容の議会規則改正案の提出も試みたが、都構想を推進する大阪維新の会が抵抗。改正案は審議されなかった。協議や調整は難航、本会議は26日午前0時をもって流会した。
条例案は、維新が法定協から野党を排除して都構想の設計図「協定書」を決めたことを受け、法定協で過半数を確保した上で再審議を狙う野党側が共同で提出。賛成多数でいったん可決したが、知事が再議権を行使し、再可決に必要な3分の2以上の賛成を得られずに廃案となった。
野党側は、同じ内容の府議会規則の改正案の審議も要望。改正案の場合、再議となった場合でも過半数で再可決が可能だが、議会運営委員会で過半数を握る維新が抵抗。審議は行われなかった。
法定協の協定書は、府と大阪市の9月定例議会に提出される見通し。
松井一郎府知事(維新幹事長)は先月にも、府の特別顧問らの会合を原則公開とする情報公開条例改正案を再議で廃案にしたばかり。松井知事は本会議で「法定協は都構想を進める場。反対する委員は規約に反する」と再議の理由を説明した。
野党側は「維新と議長が結託して流会にさせた。府議会の歴史で恥ずべき出来事だ」(花谷充愉・自民党府議団幹事長)と反発。本会議流会後の26日未明、植田浩副知事に対し、改めて臨時府議会の招集を求めた。
大阪市議会も25日、臨時議会を開会。公明や自民など野党側は、本会議で協定書を「無効」と宣言する決議案を提出、賛成多数で可決した。ただし法的拘束力はない。
野党側は府議会と同様に、法定協委員の選出法を見直す条例案を提出しており、市議会臨時議会で審議中だ。