5・17決-大阪住民投票:あと1週間、新たな一手 維新、4区集中作戦 反対派、異例の連携も

毎日新聞 2015年05月10日 大阪朝刊

 大阪市を廃止し、五つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票は17日の投開票まで1週間。賛成派と反対派は後半戦に向け、新たな手を打ち始めている。【念佛明奈、平川哲也】

 ◇維新、4区集中作戦 ビラでイメージアップ

 ◇反対派、異例の連携も 自民・共産、合同演説会

 輝く海をバックに家族連れや老夫婦が笑う。「豊かな街として発展していく。そんな願いを込めて『湾岸区』」--。

 大阪維新の会は同市西淀川区内に配る新聞折り込みのビラにそう書き込んだ。「津波に強く、安心して暮らせる街に!」と、都構想で防災対策が強化されると強調した。維新市議は「湾岸区という名前に住民の抵抗感も強い。イメージアップを図りたい」と話す。

 維新は市内24区のうち、西淀川など4区に伸びしろがあると分析。4区専用のビラを新たに作り、11日までに配る予定だ。自動音声で橋下徹市長が賛成を呼びかける電話作戦も始めた。維新関係者は「今更、反対の人の態度を変えるつもりはない。揺れている人への訴えに全力を注ぐ」と打ち明ける。

 一方、同市北区のホールでは9日昼、反対派の女性市議による集会が開かれた。自民、公明、共産の現職6人と民主の前市議1人がマイクを握り、「今誤った判断をすれば、自主財源は激減し、子や孫にツケを回すことになる」と訴えた。最後には約500人の参加者と「We Say NO!」と書かれたチラシを掲げ、気勢を上げた。

 終盤戦に入り反対派は連携を強めている。自民と共産は10日、異例の合同演説会をキタとミナミで開く。国会では激しくぶつかる両党の国会議員が並んで街頭に立ち反都構想をアピールする。同日には扇町公園(同市北区)で市民団体主催の集会とパレードがあり、さまざまな政党や団体が参加する見通しだ。

 今回の住民投票は通常の選挙と異なり、投開票日も投票を呼びかけることができる。8日までの期日前投票者数は14万7736人。