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金融政策は、インフレターゲット、量的緩和策という従来と違った政策がとられましたが、財政政策はさほど目新しいものではありません。
財政政策は、政府がお金を支出することによって、民間の仕事を増やす、そうすれば景気が良くなる、ということです。
ここで注意すべきは、政府が支出したおカネの何倍もの所得が創出される、ということです。
たとえば、政府例えば公共事業などで支出すると、それを受け取った人(企業)はそのうちの一部を貯蓄に回しのこりを支出します。そうするとその支出は別の誰かの収入になる。その別の誰かがまた一部を貯蓄に回して残りを支出する。以下同様…。
そして、すべての人(企業)の収入を合計すれば、政府の支出の何倍にもなる、ということです。 詳しい説明はここでは省略しますが、たとえば貯蓄率…すなわち、収入のうちどれだけを貯蓄するかという割合が10%なら所得の合計は当初の政府の支出10倍に、5%なら20倍になります。逆に貯蓄率が20%なら5倍にしかなりません。
アベノミクスの財政政策は、基本的には従来と変わりませんが、あえて違いをあげるとすれば、「国土強靭化」を掲げたことでしょう。東日本大震災以降の防災意識の高まりに応じる意味で、公共事業のうちの防災に力点を置いたことです。
アベノミクスの三本の矢のうち財政政策は、金融政策とくらべると、脇役的存在のようです。
前の章でとり上げた日銀の岩田副総裁の講演のなかで、岩田氏はこう言っています。
「第一の矢」である金融政策は、非常に強力な政策手段である一方、実体経済に好影響が浸透するまで、ある程度の時間がかかります。このため、特に政策発動の初期段階においては、政府が機動的な財政支出を実施することで需要面から景気を下支えすることが必要となります。
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