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アベノミクスを考える
 第2章 アベノミクスで何が起こったか
 (余談)「アベノグラフイックス」はあやしい

アベノグラフィックスでは、アベノミクスの成果として、13の成果と7つの目標を示しています。

小生は、一目見て、なんだかあやしいな、と思いました。

おそらく数字そのものには何らかの根拠はあるでしょう。さすがに小生もそこまであやしいとは思いません。

前に述べましたように、どこまでが政策の効果で、どこまでが企業や個人の努力の結果なのか、あるいは、景気ということで言えばどこまでが政策の効果で、どこまでが経済の自律回復なのかきっちり分けることが難しいからなのです。それをすべてアベノミクスの効果のように言うのはどうかな、と思うのです。

ただ、それ以前の問題として、どうもこのアベノグラフィックスというのはあやしいのではないかと思います。

以下2つの項目についてみてみましょう。


「21兆円税収増加」

「アベノグラフィックス」では、どの時点を比較して21兆円増加したかが示されていません。それに、この増加分の中には消費税増税も含まれているのではないか。

そんなことを考えているうちに、こんなのが見つかりました。

「税収増21兆円」の中身 “果実”どころかマイナス
しんぶん赤旗 2016年6月25日

これによると2012年と2016年との比較で21兆円増えている、ということらしい。

記事を引用すれば、

21日に開かれた党首討論会(日本記者クラブ主催)では、日本共産党の志位和夫委員長が、現在の税収との比較で首相が持ち出す2012年度は、リーマン・ショック(08年)と東日本大震災(11年)の二重の打撃を受けて税収が減った時期だと指摘。「巨大な外的要因をまったく考慮せず、数字だけを比較するやり方がフェアな政策論争といえるでしょうか」と迫りました。

たしかに「巨大な外的要因」を考慮せずに数字だけを比較するのはフェアではないかもしれません。ただし、安倍センセイが第2次安倍内閣の首相になったのは2012年の12月ですから、2012年の税収には、安倍センセイはかかわりを持たない。そういう意味では2012年から2016年まででいくら税収が増えた、と言ってもかまわないような気もします。

しかし、消費税の増収分9兆円はアベノミクスの効果ではないでしょう。


「給料3年連続で2%の賃上げ」

こちらのサイトを見てみましょう。

【拡散希望】アベノグラフィックス「給料3年連続で2%の賃上げ」の真実

このサイトの筆者は「給料3年連続で2%の賃上げ」とは、大手企業の春闘の賃上げのことだ、ということです。これについての新聞記事はこちら。

春闘賃上げ、3年連続2%超え 上げ幅は縮小 経団連 朝日新聞デジタル 2016年4月18日21時09分

もし、この記事に書かれていることをもとに「給料3年連続で2%の賃上げ」と言っているのなら、このサイトの筆者の次の指摘は当たっていると思います。

アベノミクスの恩恵を受けたほんのごく一部の上場企業の賃上げのみ取り上げ,国民全体の賃金が上がったかのように錯覚させようとしている。

これで国民を騙せると思っているのだ。

真実は違う。私の記事で散々指摘してきたとおり,国民全体の給料(名目賃金)はこの3年間でわずか0.1%しか伸びていない。額にすれば,月給が約300円しか伸びなかったことを意味する。(以下略)

  ☆  ☆  ☆  

本来ならば、アベノグラフィックスの項目すべてを検証すべきなのでしょうが、その余裕がありません。元データを明示していないために、検証に手間がかかるのです。

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