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またしても、たかじんnoマネーでひと騒動ありました。
従軍慰安婦に関する問題発言で揺れる日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長(43)が15日、大阪市内でテレビ大阪の討論番組「たかじんNOマネー」(土曜午後1時〜)の緊急生放送に出演。ここでの発言にお笑いタレントの水道橋博士(50)が激怒し、番組降板を宣言してスタジオから飛び出した。橋下氏は番組冒頭、同番組の1日放送で慰安婦発言に問題なしと答えた視聴者が約8割いたことに触れ「有権者は冷静ですよ。小金稼ぎのコメンテーターとは違う」とコメント。その後の議論でも橋下節を炸裂させ、他のコメンテーターを圧倒した。
そして“事件”は番組終盤に起こる。水道橋博士が、橋下氏とジャーナリストの大谷昭宏氏(67)との議論をさえぎって「小金稼ぎのコメンテーターと言われたんで、今日で番組を降ろさせていただきます。(そんなコメンテーターとは)違います。それでは3年間、ありがとうございました」とぶぜんとした表情で立ち上がり、そのままスタジオを出て行った。
(以下略)
水道橋博士は、このあとラジオ番組(16日午後6時からの日本放送「青山繁晴・水道橋博士のニッポンを考えナイト」に出演して、この件について語っています。それによりますと。
博士は、この番組がバラエティー番組であり、それに芸人として呼ばれ、コメントをしている、と考えていたようです。
しかし、番組が政治を扱い、しかも政治的中立性にも疑問がある(具体的には、大阪市長選での「討論」のことらしい)。要するにこの番組のありかたに疑問を持っていたらしい (小生も中立性に疑問を持っていることについては、「電話投票 視聴者の8割が橋下を支持」をご参照)。
ただ、芸人は呼ばれてナンボの仕事、出演を依頼されたら出ていくのは当然。そういう中で、政治問題にも真面目にコメントしようとしていたのではないでしょうか。
須田慎一郎氏によれば、
「水道橋博士はものすごくマジメな人。事前に資料を読み込んで、いつも全力投球です。」したがって、<小金稼ぎ>と言われれば「違います。」ということになりますね。
(番組共演の須田氏が語る水道橋博士「怒ッ」の真相 Gendai.net2013年6月16日)
博士は、この番組のあり方に、以前から疑問を持っていた、というのが博士の行動を理解する鍵になります。そこが周りの人には見えない。だから博士の行動が唐突に見える。
番組の中では、橋下が日本の従軍慰安婦問題が、ドイツのホロコーストと同じように言われているのは、違うと言っていかなければいけない、主張するのに対して、ではいまなぜ、あのタイミングで「従軍慰安婦問題」についていう必要があったのか、果たしてそれが適切であったか、という橋下への批判になりました。
水道橋博士も、同様の指摘をしたのに対し、橋下は、では、慰安婦に国家賠償すべきかどうか、どう思うか、と水道橋博士に質問した。そう問われて、博士は、「ぼくはただのタレントだから、わからない」と答えました。この質問に、即座に回答ができる人はいないでしょう。
博士が答えられなかったことを批判する人はいますが、小生は、はっきりわからない、と言った博士は、正直だと思います。論語にも、「これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。これ知れるなり。」とあります。
橋下は、これに対する答えを一応用意していました。補償の問題は日韓基本条約で解決済みだが、日韓で共同研究をして、国家的意思として人身売買があったという事実が認められれば、別枠で補償すべきだ、と言っています。
橋下は、まず、いまなぜ、とか、適切であったか、という問題を、「国家賠償すべきか」という問題にすり替えています。そして、わざと相手の答えにくい質問をして、相手を追い詰めました。最後に、自分の回答を示し、相手のわからないことを、自分は知っているぞ、と見せています。このあたりの論争術が素晴らしい。
ただし、橋下の提示した解決策は、はたして有効であるか。日韓共同研究というような話はすでに出ている。大谷氏が指摘するように、現実には、そこでつまずいていて、前に進んでいないのです。仮に、このやり方で進めてることが出来ても、おそらく、最終的には、証拠がないので補償しない、という結論になるのでしょう。
問題はほかにもあります。
橋下は、コメンテーターが答えられなかったことに対して、コメンテーターはそれでいいかもしれないが、政治家は違う、今の立場で答えを出さなければいけない、責任があるかないかで全然違います。と言いました。また、僕らは選挙で審判を受ける。コメンテーターはそのような審判は受けませんよね」ともいいました。
コメンテーターが無責任である、政治家は責任がある、と言われればその通り。しかし、じゃあ、責任のある人だけが、何か言う権利がある、ということになれば、政治家を批判できる人は、いなくなります。たとえば、大阪市政について、全責任を負っているのは橋下一人ですね。
こう考えて来ると、橋下は要するに「黙れ」俺のことは批判するな、と言っているに等しい。
あとは、どうでもいいことなのですが、<小金稼ぎのコメンテーター>発言から、途中退場にいたるまでの、水道橋博士の「動き」について、いろいろ言われています。先にあげたラジオ番組でのご本人の説明を載せておきます。
そもそも、実は降板がきまっていて、やったことではないか、とかそういうことを言う人もいたようですが、博士は明確に否定しています。この日は次回分の収録も予定されていて、そのアンケートに答えるとか、準備をしていた、とのこと。
冒頭の「小金稼ぎ」発言になぜその場で抗議するなり、退場するなりしなかったか、ということについては、そこでみんなが笑ったから、とのこと。そういうことなら、冗談と受け取っておくのが、芸人でしょう。
なぜ退場したか、については、橋下も以前、サンデージャポンという番組途中退場したことがあって、それを真似することによって、橋下もコメンテーターだったじゃないか、と(芸人らしく?)風刺したかったのだそうです。
はて、博士の芸はウケなかったらしい。博士があまり真面目すぎたんですな。だから風刺として受け取ってもらえなかった。博士は芸人としては失格です。
いっそのこと芸人をやめて、政治評論家になったらどうですかね。博士のまじめな性格には、そのほうが向いているかもしれない。
そして、橋下徹と対決する。
どうです、小生と組みませんか。橋下批判のネタは、小生が提供しますよ。
ナンチャッテ…。
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