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橋下徹は政界を引退するか

本稿は、当初は「橋下徹はなぜ政界を引退しないか」と言うタイトルでUPしました。要するに、目立ちたがり屋の橋下センセイが政界を引退するなんてありえない、と思っていたのです。ところがその後いろいろ情報が入って、だんだん自信がなくなりました。そしてついには、もしかしたら引退するかも、と思うまでになってしまいました。

というわけで、とうとうタイトルを「橋下徹は政界を引退するか」と変更。

まあ、引退するしないはご本人の意志次第。小生が憶測したってしょうがないのですが、いったん「なぜ引退しないか」などと書いてしまったので、修正せざるを得なくなりました。

なお、以下の文章は、小生の勝手な憶測に基づいて書かれております。そのつもりでお読みください。

☆  ☆  ☆

なぜ「政治家引退」と言ったのか

大阪公明党が大阪都構想住民投票に賛成に態度を変更してから、橋下は何度も「住民投票で大阪都構想が否決されたら政治家引退」と言っていました(「住民投票運動」「住民投票運動の戦術」ご参照)。

これが、住民投票運動の戦術…橋下ファンの人で、大阪都構想の賛否を決めかねている人が、橋下の引退を嫌って大阪都構想に賛成票を投票するよう誘導するという戦術…であることはいうまでもないことですが、住民投票後の記者会見でも「政治家引退」と明言している(後述)。」これで、政界引退はキマリと思った人は多いでしょう。

ところがその後も、安倍晋三首相と会談する、ツィッターで政治的な発言をする、大阪戦略調整会議をつぶす、維新の党を分裂させて国政政党おおさか維新の会を設立するなど、とても引退の気配がない。本当に橋下徹は政界を引退するのだろうか、と思った人も多かったようです。

小生は、橋下が言うことは全く信じていませんから、引退してもしなくても別に何とも思いませんが、どちらかといえば、引退しないだろう、と考えていました。

そもそも、 橋下は目立ちたがり屋です。一介の弁護士よりは、政治家のほうが目立つ。だから、引退はしたくないだろう、というのがその理由。ただし、橋下は市長はやめたかった。

橋下は、住民投票の時点では、本当は大阪都構想をやめたかった。市長もやめたかった。と言うと言い過ぎかもしれないが、やめてもいいやぐらいに思っていた。

野党が多数を占め、しかも信頼関係の全くない議会を相手に、大阪都構想を進め、市政を運営していくことは困難。

橋下が「大阪都構想が否決されたら政治家引退」と言ったのは、大阪市政で行き詰ったということをカムフラージュする意味もあったでしょう。市長をやめる、といえば、行き詰りによる辞職と言うことが明らかになりますが、政界引退といえば、自ら身を退くということで、市政行き詰りによる引退と言う事実を隠すことが出来る。

まあ、こんなところではないか。

そもそも、橋下ブームで当選した議員たちが、橋下の引退を認めるわけがない。そのうち、彼らの中から政界復帰待望の声が上がるでしょう。橋下はそれを待って政界復帰。大阪市長になることも、大阪府知事になることもできないから、当然国政進出を狙う。

橋下は市長をやめることを、政治家引退と称するでしょう。 次の国政選挙までは間がありそうですから、その間は引退期間になるでしょう。周囲の橋下の政界復帰を待望する声に応じて、橋下は立候補。

言い訳も用意してある。「市長をやめて政治家を引退しましたが、政界復帰待望の声に応じて国政選挙に出ます。立候補は個人の権利です。何か問題がありますか?」

「敗けたら政界引退」と言ったときにはすでにこの言い訳まで考えてある。


弁護士に戻れるか

当初は以上のように考えていましたが、 住民投票後の記者会見の書き起こしを見て、考えを変えました。

記者:これまで仰っていた、任期満了で退くというお気持ちは変わりはないでしょうか。

橋下:ええ、市長任期まではやりますけども、それ以降は政治家はやりません。これはもう前から言っていたことです。

記者:政治家は、ということは市長だけではなくて、その先政治の世界は一切(やらない)ということでしょうか。

橋下:弁護士やりますから、維新の党の法律顧問で雇ってもらえないだろうかとさっき江田代表に言いましたけどもね。法律顧問料とりますよと。でもあの、明確な返答はいただいておりません。

具体的に「維新の党の法律顧問」とまで言っている。ということは、この時点では、本気で政治家引退を考えていたのか。だとすればなぜその後政治家をやめる気配が全くないのか、いよいよなぞは深まる。

江田氏はその後代表を辞任してしまいました。そして、その後の維新の党分裂騒ぎで、維新の党の法律顧問の話はいったんなくなりましたが、維新の党が分裂したおかげで、橋下センセイおおさか維新の会の法律政策顧問にめでたく就任。たぶん顧問料はもらっているんでしょう。いくらぐらいもらっているのかな?普通ならそれだけでは食べていけない。

では、おおさか維新の会の法律顧問以外で弁護士の仕事はないのか。

以前、ネットで「橋下綜合法律事務所」で検索すると、当事務所のホームページがヒットしました。<2008年(平成20年)2月6日の大阪府知事に就任した後は、事務所を法人化し別の弁護士が運営する。>Wikipedia「橋下徹」「来歴・人物」「概要」)という形で事務所は存在していました。

その後、一時、ホームページはヒットしなかったのです。ということは、事務所は閉鎖?事務所に所属していた弁護士が独立してしまったか。もはや、橋下センセイは橋下綜合法律事務所に戻ることはできないのか。

橋下センセイは、テレビ番組などで<司法問題や法曹界全般、弁護士・裁判官の資質に至るまで幅広く批判していた。>(前掲Wikipedia「橋下徹」「来歴・人物」「マスメディア出演」)ということで弁護士仲間からは嫌われているらしい。弁護士もそれぞれ得意分野があって、自分の苦手な分野の相談を受けた場合には、その分野を得意としている弁護士を紹介する、ということがあるでしょうが、橋下センセイはどうでしょうか?

テレビに出演する前(つまり弁護士専業であった頃)は「商工ローン」シティズの顧問弁護士とか、飛田新地の料飲組合の顧問などもしていた(前掲Wikipedia「橋下徹」「来歴・人物」「概要」)。しかし、ここまで有名になると、この手の怪しげな仕事はちょっとやりにくい?

普通の弁護士活動は出来ないのか。

弁護士事務所には、事務所の代表格のベテランの弁護士のほかに、イソ弁(「居候(いそうろう)弁護士」の略)と称する新米の弁護士がいます。彼らは、法律事務所に雇われて働き、ベテランの指導のもと実務を習得し、時期を見て独立するのが普通です。橋下綜合法律事務所にも、どうやらそれらしき人が2名います。

しかし、橋下センセイが、新人を教育するなんてできるのかな。教育したとして、まともな弁護士に育つのかな。なんだかイソ弁さんたちがかわいそうです。


タレントに戻れるか

さて、冒頭で述べましたように、ついに橋下センセイが政界を引退するかどうかわからなくなってしまいました。

それは、以下のようなニュースが入ったからです。

橋下徹氏、古巣の芸能事務所に復帰 タレント活動へ
デイリースポーツ 2015年12月22日
橋下氏タレント本格化 4月からTVレギュラー内定
日刊スポーツ 2016年2月15日
橋下徹氏、8年ぶりバラエティー界に復帰 羽鳥慎一アナと初タッグで新番組
オリコン 2016年2月16日

つまり、橋下先生には芸能人として活躍する、ということもありうるらしい。その可能性やいかに?

12月22日の記事の時点では、彼がタレント活動ができるかどうか、わからないと思っていました。と言うのは、橋下センセイが政治活動から完全に引退しない限り、放送の政治的な中立という観点から、彼を番組に出演させることは難しいのではないか、ということです。

2月15日の記事では、<…4月からレギュラーになればテレビ界の通例として最低でも6カ月以上が前提となり、今夏の出馬は難しくなる。>とありますが、単に選挙で忙しくなるから番組に出られなくなる、と言うことではないようです。

橋下センセイは2008年、大阪府知事選への立候補を「2万%ない」と否定し、その後翻した経緯がありますが、この時のことについて<あのときはご存知の通り、僕が番組収録を抱えていて、番組の予定が組まれていたので、どうしても「出ない」と言わないと放送できなかったのでああいう言い方をした。>(5月17日記者会見)と言い訳しています。どうやら選挙へ出馬すると、番組への出演は出来なくなる、と言うルールがあるらしい。

政治的中立性の問題をさておいても、そもそも橋下センセイは、テレビ番組で何度か問題発言をして、自ら番組を降板した(実は降板は決まっていたと言う説も)といういわくつきの人物です。2月16日の記事では、橋下センセイのレギュラー出演はきまったものの、テレビ局側ではどんな番組にしていくのか、どまどっているような感じがあります。

橋下先生にとっても、政治家として出演するのはメリットがない。以下も、5月17日の記者会見での発言。

 −−政治家を引退されるということもあり、これから橋下さんにテレビ局からオファーが増えると思われるが

 橋下氏「知らないですよ(笑)。これまで相当テレビ局ともめているので、『橋下許さん』というテレビ関係者も多いのでは。でもこの7年半はノーギャラで出てたので、今度は文化人枠以外で出してもらえれば(笑)」

(産経WEST 2015年5月17日)

ちなみに、テレビの出演については「文化人枠」と「芸能人枠」がある。「文化人枠」とは「評論家」「学者」「専門家」みたいな人たちとして出演すること、「芸能人枠」とは芸能人として出演することで、文化人枠のほうはかなり安い(1回3万円とか5万円とか)。それに対して、「芸能人枠」だと1回あたり数百万円とかいうこともあるとか。ただし、これは芸能事務所に支払われる金額であって、本人には芸能事務所の取り分を差し引いて払われる。もちろん有名なタレントは取り分が多いらしい。

政治家は文化人枠なのか?それともノーギャラなのか。お車代ぐらいは出るのか。いずれにせよ、政治家として出演するのでは、稼げない。政治的な発言をしない橋下センセイは魅力半減だろうし…。

こんなふうに考えていくと、橋下センセイが芸能人として活躍するのは難しい?


大金稼ぎの評論家?

以上の通り、橋下センセイは、弁護士としてやっていくのも、タレントとしてやっていくのも難しいのではないか、だとすれば、政治家をやるしかないのではないのか。ゆえに橋下の政治家引退はない。まあ大体こんなふうに見ていたのです。

小生がもしかしたら引退もありうるか、と思うようになったのは、前掲の2月15日の記事。「番組内定」ではなくこの部分。

 橋下氏の弁護士事務所によると、企業からの講演依頼も殺到している。講演料はタレント弁護士時代から倍増の「1本200万円」。テーマは多種多様だ。企業経営者向けには8年間の知事、市長、国政政党のトップを務めた経験をもとに「組織マネジメント」、転職支援サービス会社の「仕事との向き合い方」、政治家主催の一般市民向けの講演もこなす。週1回のペースで実施し、秋まで予約が埋まっているという。

「1本200万円」で週1回ということなら、年50回として、年収1億円。普通の人なら、これぐらいの年収があれば十分じゃないでしょうかね。たぶん国会議員より「儲かる」。

国会議員の年収については、こちらにある。これによれば、議員の報酬は1750万円。そのほかに「文書通信交通費」月額100万円、すなわち年1200万円、政党から議員への支給が数百万円から1千万円。多ければトータルで4千万円と言うことになります。しかし、政治活動にはカネがかかりますから、ここからそれを差し引かねばならない。とすれば、年収1億円なら国会議員より多い。

橋下センセイ、おカネには執着する人のようです。橋下センセイが最初に勤めた法律事務所のボス弁がこういっています。

…面倒をみるうち、橋下が異常なほど金に拘る人間であることがわかってきた。飲みに連れて行くと、話題はカネ、カネ、カネ。どこの管財人が何億儲けた、だの、あの弁護士は幾ら稼いだだの、そんなことばかり。橋下は強きに弱く、弱きに強い。金を持っている依頼人への媚びへつらいは酷いものだった。電話でも猫撫で声を出してね。弁護士として品性がないと思いましたね。

( Wikipedia「樺島正法」「人物像」「橋下徹との関係」

今まで引用した住民投票後の記者会見での発言にもそれが表れている。

<維新の党の法律顧問で雇ってもらえないだろうかとさっき江田代表に言いましたけどもね。法律顧問料とりますよと。>
<でもこの7年半はノーギャラで出てたので、今度は文化人枠以外で出してもらえれば(笑)>

法律事務所の仕事をやりながら、週一回のペースで講演を引き受ければ、政治家より絶対もうかる。政治家なんかバカバカしくてやってられない、かな。

橋下センセイは評論家は無責任とか言ったことがありますが、橋下センセイも評論家になるんでしょう。

橋下センセイ、コメンテーターとして出演する評論家などを「小金稼ぎのコメンテーター」と揶揄していましたが、橋下センセイは「大金稼ぎの評論家」ですな。

橋下センセイが国会議員になるよりは「大金稼ぎの評論家」のほうが被害者が少なくて済む。まずはめでたい。

しかし、評論家橋下徹の人気がいつまで続くかはわからない。<秋まで予約が埋まっている>というがそのあとは大丈夫だろうか。

橋下センセイ、講演の依頼が少なくなったら、国会議員に立候補するかも。

(「橋下徹人物評論集」-おわり)


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