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石原は、日本の技術がいかに優秀かについて、次のような例を挙げています。
クリントン政権の末期にアメリカは突然日本の先端技術に大調査団を送り込んできました。きっかけはその年の正月に、日本のソニー社が子供の遊び用に売り出したプレイステーション2に彼らが仰天したことです。たかが子供の遊び道具に搭載されていたマイクロチップが、アメリカの宇宙船の機器に使われているマイクロチップの4倍のビット数のものだった。それに驚いたアメリカは能天気な日本が利益追求のためにこんな品物を中国や北朝鮮に売りでもしたらとんでもないことになると、それを絶対に売らせまいと圧力をかけにきました。
PS2の日本での発売は2000年3月。「『使用部品の性能の高さから兵器転用の恐れがある』として輸出規制の対象となり、発売当初は話題になった。」そうです(Wikipedia)。小生、一応ネットで調べてみたが、どういう技術ないし部品が、法令のどういう条項に抵触したのか、よくわからない。通産省もソニーも詳しいことは言わなかったらしい。軍事技術に関することだから、秘密にしたのか?(石原センセ、わかっていたのですかね?)
ところが、ソニー・コンピュータエンタテイメントからの「重要なお知らせ」(2000年12月18日)として、次のようなものがありました
当社の"PlayStation 2"(以下PS2)および"PlayStation 2"専用メモリーカード(8MB)は、「外国為替及び外国貿易法」に基づく輸出規制品でありますが、2000年12月27日付けで同法に基づく政省令改正が公布・施行され、従来日本国外への輸出の際に取得が必要であった通商産業大臣(2001年1月6日より経済産業大臣)の許可が特例により不要となりましたのでお知らせします。(以下略)
まあ、この結果から見て、大したことはなかったのではないか、と思われます。
この業界は、日進月歩ですから、部品などは、あっという間に陳腐化してしまう。規制のほうが、技術の進歩に追いついていなかったのかもしれない。
たとえば、石原は「4倍のビット数」とか言っていますが、何が4倍のビット数だったのか?単なるメモリの話だとすれば、パソコンのハードディスクでも、USBメモリでも、どんどん容量が増えているのは、みなさまごぞんじのとおり。
それにしても、この話は10年以上前のことです。今持ち出したって、あまり意味がないのではないでしょうか。
そういえば、前に述べた戦闘機の話も、ゼロ戦時代の昔の話を、なんの反省もなく持ち出しているようにみえますね。
さて、汎用技術の軍事への転用について、一般的には以下のようなことが言えると思います。
優秀な汎用部品・技術が武器・軍事技術に転用され、優秀な武器・軍事技術が生まれることもあるでしょう。しかし、それをもって、日本が必ず優秀な武器を製造でき、他国に勝る軍事力を持つことができる、とは言えないでしょう。
石原は、ほかにも、日本の優秀な技術がアメリカの軍事に転用されている事例をいくつか挙げています。おそらく、民生用技術の軍事への転用の例は、それ以外にもあるでしょう。しかし、これが、適正価格で米国に買い取られている限りは、収奪といえないでしょう。
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