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石原慎太郎は、国会議員になるために、都知事を辞任しました。国会議員の兼職禁止の規定がありますから、当然と言えば当然。
任期途中で都政を投げ出しての辞任は無責任ではないか、という声は上がりました。だが、石原慎太郎はそんなことは、意に介していない。もともと、「東京から日本を変える」と言っていたのですから、国政復帰は当然、とはいえます。東京都のことは、どうでもよかったのでしょう。
石原都政は、新銀行東京の問題、築地市場移転問題、2020年オリンピック招致などの難問を抱え、いずれも解決のめどが立っていませんでした。さらに、尖閣諸島購入のための寄付金の処理、というおまけもついています。石原慎太郎はこういう問題に嫌気がさして、投げ出したかったか?
いや、そもそも、無責任な男ですから、都政での問題山積は辞任の理由にはなりません。彼は、誰かに責任転嫁をして、それでおしまいでしょう。
それはさておき、政治的な影響力、ということだけでいえば、都知事のほうがあるような気がします。週1回の定例記者会見があります。そこでの発言が、ニュースとして取り上げられる。これまで、石原慎太郎が注目され続けてきたのは、この定例記者会見のおかげだったのでは、と思います。
一方、単なる野党の党首になってしまっては、なかなかニュースに取り上げられないのではないか。また、政治的な権限は何もない。国政に関与する、と言っても、「中央官僚支配の打破」ができるような地位ではないのではないか。
都知事ならば、都政の実務は猪瀬副知事や都のお役人に任せ、都庁という出来上がった組織のお山の大将で勝手なことを言ったりやったりできるのですが、政党という柔らかな組織を、長としてまとめていくとなるとそうはいきません、勝手な言動は慎まねばならない。大体、石原慎太郎のようなわがまま人間が、組織をまとめることなどできるのかな、と思います。どう考えても、都知事でいるほうが、居心地はいいと、小生は思うのです。
国会議員にならなくとも、今の橋下大阪市長のように、都知事のままで政党の党首となる、ということもありだったのでは。そういう意味で、あえて、都知事の座を降りることはなかったのではないか、と思うのですが。
以上、いろいろ考えてみましたが、結局、石原慎太郎がなぜ、都知事を辞めたのか、その動機が納得できません。あれほど、新党結成するかどうかを迷いながら、なぜ、突然、辞任したのか。東京都による尖閣諸島購入の失敗、伸晃の総裁選での敗北も、都政の問題山積も十分な説明にはならないでしょう。要は、都知事に居座り続けるほうが、楽ですし、それができないほど、石原は責任感があるとは思えません。
こんな憶測記事を見つけました。「石原都知事辞任は自民党都議団との関係悪化が要因?」
この通りではないかもしれませんが、そういうこともあるかもしれませんね。そもそも、尖閣諸島問題でも、自民党は必ずしも石原支持ではない。石原慎太郎の「尖閣諸島の実効支配の強化」を邪魔して、問題を棚上げしてきたのは自民党政権です。都議会自民党も、「尖閣諸島の『公有化』には賛成したが、都による購入には賛成していません。都議会自民党は、石原都知事の身勝手な行動に振り回された格好になっており、苦々しく思っていたかも知れません。
もうひとつ、新聞記事の中で引っかかる表現がありました。都知事の辞任に関する都の幹部の反応。
<都の幹部は一様に「まったくの寝耳に水ですよ」と話すが、しばらく前から腹はくくっていたのだろう。>
「しばらく前から腹をくくっていた」…どういう意味ですかね。予想していた?期待していた?
ここから先は、小生の勝手な憶測です。
もしかしたら、都庁の居心地も悪くなっていたかもしれない。都庁のお役人は、3期12年にわたって、石原慎太郎の身勝手な言動に振り回され、その尻拭いをさせられてきた。4期目に入って、東京都とは本来無関係の尖閣諸島の購入問題で、半年間の迷走に付き合わされた。もういい加減にしてほしい、という冷ややかな雰囲気が、都知事の周辺のスタッフのなかに醸成されたとしても不思議ではないでしょう。それを、石原慎太郎が感じ取って、そろそろ退け時と思ったか?
新党結成・国政復帰は、都政からの逃避の隠れ蓑?
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