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石原慎太郎とカタカナ言葉

2006年1月27日 定例記者会見で

「何もね、日本なんだから英語使うことねえんだよ、わけのわからない英語をね。だからね、日本語にうまく訳せばいいじゃないですか。そうすればもっとわかりやすいよ。「ジェンダー」とか「フリー」とか言ったってね、英語のわからない人はさっぱり、おじいさん、おばあさんはわからんよ、そんなものは。日本語でやってくれ、日本語で」

以上は、石原慎太郎氏のお言葉です。ごもっとも。しかしですね。石原慎太郎氏も結構難しい英語を使っているんですよ。

「・・・繰り返して言いますが、東京は日本のダイナモです。」

今回の都知事選挙の政見放送でのお言葉です。自分は就任以来、「東京から日本を変える」というスローガンのもとに、成果をあげてきた、と言ったあとに出てきます。

ダイナモっていったい何だいな、もう。

ダイナモって発電機のことだそうです。日本の動力源ぐらいの意味でしょうか。原発のことが念頭にあったのでしょうかね。彼は原発推進論者で、東京湾に原発があってもいい、と言っていますから、本気で東京に原発を建設しようとしているのかしら?

ダイナモとジェンダーフリーとは、いい勝負じゃないですかね。ただし、ダイナモのほうが古い?まあ、政見放送では使わないほうがいい言葉じゃないですかね。

もうひとつ、3月14日、例の天罰発言のなかの一説です。

「アメリカのアイデンティティーは自由。フランスは自由と博愛と平等。日本はそんなものはない。我欲だよ。物欲、金銭欲」

うーむ、アイデンティティー(IDENTITY)という言葉は日本語には訳すのが難しい言葉で、英和辞典をひくとこうあります。
「1.同一であること、同一性。同じ人[もの]であること;本人であること、身元、正体(以下略)」

これでわかりますか?

身分証明書は、その人が、まさにその人であることを証明するカードですが、英語でIDカード=IDENTIFICATTION CARDです、というと直感的にわかるかもしれません。ですから、アイデンティティーは、その人がまさにその人であることを証明する性質。

だとすれば、人間なら誰でも持っている我欲、物欲、金銭欲は、アイデンティティーと呼べるほどのものですかね。それとも、日本人にはアイデンティティーと呼べるような性質はない、という意味なのでしょうか。

アイデンティティーなんて言葉を使わず、「日本人は我欲のかたまり」ぐらいに言っておけばいいのに。もっとも、その後の日本人の行動、被災地では秩序が守られ、ボランティアが集まり、義援金が集まるということから、石原氏が間違っていたことは証明されると思いますが。

「石原慎太郎のアイデンティティーは、その言葉に対する態度、すなわち、自分の言葉が相手にどう受け取られるか、を考慮せず、人の言葉を聞かず、また、自分の言ったことにも従わない、と言う態度である。」

これこそ、アイデンティティーの正しい使い方では?


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