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2015年大阪ダブル選 敗因分析

敗因「自民党がだらしなかった」の意味

長谷川氏と吉富氏の見解は、敗因は自民党自身にある、という大筋で一致しています。これをもう少し掘り下げてみましょう。

前掲の図のように、大阪都構想住民投票でも大阪市長選でも他の政党では支持者のうち70%〜80%がその政党の方針どおりに投票しているのに対し、自民党では50%程度なのです。組織力が弱いということでしょう。

長谷川氏の評論では自民党の二階氏が「常日ごろの大阪の選挙活動がどうなっているかということだ」と「激怒」したという新聞記事が引用されていますが、お怒りはごもっとも。「常日ごろの選挙活動」というより、「常日ごろの政党活動」というほうが適切ではないかと思います。また、そもそも自民党員は、当の命令一下忠実に動くというような人たちではないような気がします。そういう政党は、公明党と共産党でしょう。

つまり、自民党は組織力が弱いのです。それゆえ、自民公明の選挙協力が必要になるのです。

しかし、大阪自民党に問題あり、というだけではありません。自民党中央にも問題がありました。大阪都構想住民投票の時もそうだったのですが。

住民投票では、自民党は党としては中立でしたが、官邸は都構想に賛成を表明し、陰に陽に橋下維新を支援しました。

今回のダブル選では一応党を挙げて柳本、栗原候補を支援、自民党の大物が次々と応援のために大阪入りをしました。

応援の「顔」でもバトル 稲田氏に谷垣氏、石破氏、大物続々の自民
大阪維新は代表の橋下氏がフル回転
産経WEST 2015年11月14日

そして、今回は安倍首相も露骨に維新に賛成はしなかったようです。どうやら、谷垣幹事長は、安倍晋三に余計なことを言わないようくぎを刺したらしい。

自民・谷垣幹事長「官邸との関係は心配無用」 党大阪府連に徹底交戦指示
産経ニュース2015年10月21日
安倍首相、大阪維新との全面対決を指示
産経ニュース2015年10月27日

菅義偉官房長官も今回は<告示直前の10月末には、松井氏が菅義偉官房長官と30分余りにわたって面会した。>(前掲産経WEST 11月14日)という程度だったらしい。

しかし、吉富氏の評論には、こんなことが書いてあります。

<菅義偉官房長官は24日、会見で「自民党の候補者を共産党が応援するとか、いろいろな現象の中で行われた選挙だが、そうした全体を考えた上で大阪の皆さんが決めたのだろう」と他人ごとのように述べ>た。<松井知事と仲の良い菅官房長官らに気兼ねしてか、自民党本部も同党大阪府連も市長選さえ勝てばいいとして、本気で府知事選で勝利しようとは思わなかった節がある。官邸の顔色をうかがう優柔不断さが候補者選びの遅れを招いたようである。>

これでは大阪自民党は勝てません。大阪自民党は、おおさか維新の会という外部の敵とたたかう前に、官邸と支持者という内部の敵と戦わねばならなかったのです。内部の戦いですでに前後に(上下に、というべきか)敵がいた、ということになります。

二階氏のお怒りはごもっともですが、大阪自民党は支持者の票固めをする前に、官邸とたたかわねばならなかった、とも言えます。

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