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橋下徹府知事の公約と施策

さて、公約と対比して、実際の政策はどうだったでしょうか。

まずは、「17の重点事業」の進捗状況については、大阪府のホームページに記述(「17の重点事業」…リンク切れ)があります。 これがいつ作成されたものかはっきりしませんが、平成22年度(2010年度)の実績まで記入されています。橋下は、平成23年(2011年)10月知事を辞職していますから、大体、在職期間を通しての記述と考えていいでしょう。

もう一つ、Wikipedia「橋下徹」「大阪府知事として」を参考にしましょう。橋下がどういうことをしたのか、公約とは関係のないものも含めて記述されています。

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橋下府知事公約・施策
4つのトライ17の重点事業実施
状況
施策
1「子どもが笑う、大人も笑う大阪に」
安心して子どもを産み育てられ、1.「(仮称)出産・子育てアドバイザー制度」を創設
2.小児科・産科の救急受け入れを促進
3.妊婦一般健康診査の受診回数を拡大
4.乳幼児医療費助成を拡充
5.不妊治療費補助を拡充
6.駅前・駅中に保育施設の整備を促進
7.子どものいる若い夫婦への家賃補助制度を創設
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8.障がい者や高齢者への公共公益活動を支援
公立小学校に緑があふれ、9.大阪府内の公立小学校などの運動場を芝生化
食育教育の充実で子どもが伸びやかに育ち、
10.大阪府内の全公立中学校に給食の導入を促進
明るく豊かな学校生活が送れ、
多様な府立高校が選べ、
教育非常事態宣言と教育改革
ボランティア団体・NPOに活気があり、
専門的な公立病院がある大阪に。
2「人が集い、交わるにぎわいの大阪に」
メリハリの利いた補助制度と
商業地域・市街地に人が集まる仕組みづくり。12.大阪府内で冬季イルミネーション・イベントを実施
13.「石畳と淡い街灯」の街をつくる

11.安全な地域づくりをめざして防犯カメラの設置を支援治安・暴力団対策
3「中小企業が活き活きし、商いの栄える大阪に」
府庁全体が中小企業振興のサポーターとして働き、14.中小企業活性化のため大規模コンベンションを開催
大企業の要望を取り入れられる。
15.大阪の活力アップのため知事による積極的なセールスを展開
大阪府立大学というシンクタンクがある大阪に。
カジノを含めた統合型リゾート構想
4「府民に見える府庁で、府民のために働く職員と、
主役の府民が育てる大阪に」
むだな出費を抑え、16.セーフティネットを除き大阪府が出資する法人を抜本的に改革
17.府立施設や府の事業で必要性のないものは民営化・売却を促進


財政非常事態宣言
財政問題
会計制度改革
道州制をめざした投資会社大阪府庁。
住民への直接サービスは市町村にどんどん権限を委譲し、
府庁は、各市町村にまたがる事業や各市町村の調整、
また大阪府の方向性を決定する
司令塔の役割に徹する組織を再編。
大阪都構想
現在の大阪府の事業は、効果が見えにくいプロジェクトや
単なるお金貸しの事業ばかり。
今後は、効果がはっきり見える事業にしか投資しない。
府議会からのチェック機能、情報公開の徹底。
情報公開
大阪の笑顔のために、国とたたかう、
府職員の士気が満ちあふれる大阪に
地方分権
府庁移転問題
関西三空港問題
沖縄米軍機訓練の関西移設案

上の表は、前出の「公約」の表に「実施状況」「施策」の列を加えたものです。

「実施状況」は「重点実施事項」の実施状況。大阪府の「進捗状況」をそのまま転記しました。

◆進捗状況は、その概要を記載するとともに、次のとおり3つの区分で分類。
  • 「具体的な取組みを実施したもの(既存事業として実施しているものを含む):○」
  • 「具体的な取り組みを実施しているが、更に充実強化が必要なもの:△」
  • 「具体的な取組みを実施していないもの:×」

(大阪市HP「17の重点事業」より)

これは自己採点で、しかも「作文」でなんとなくごまかすことが出来るものですが、とりあえず大阪府の評価を記入しておきます。

「重点事業」では、意外なことに10項目が挙げられていた「1.『子供が笑う、大人も笑う大阪に』」、しかも、そのうち7項目が挙げられている「安心して子どもを産み育てられ」に×が多い。そのほかの「トライ」に対応する「重点事業」についてはすべて○なだけに、目立ちます。

「施策」はWikipediaの項目(見出し)の中から選びました。18項目のうち、「肖像権問題」は府政と全く関係ない。「首長連合」も直接には関係ない。「同和問題」「部落解放同盟との関係」は、府政に具体的に反映されているか不明。「方針撤回」「府議会、組合との対決」は、何をやったかというよりは、どういう風にやったか、ということ。

というわけで、6項目を除外し、残り12項目を施策として、対応する公約と同じ行に記入しました。つまり、対応する公約(「トライ」または「重点事業」)がなければ、施策の項目の左側が空欄になります。

「カジノを含めた統合型リゾート構想」「関西三空港問題」「沖縄米軍機訓練の関西移設案」は厳密に言えば、施策というよりは意見表明ないしは政策提言ですが、参考のためこの表には記入しておきました。

公約と「施策」を対比してみるとどうでしょうか。

(表の「施策」の欄をもう少し具体的に書いておくとわかりやすいのですが、Wikipediaの記述がかなり詳細で込み入っていますので、簡潔にまとめることが出来ません。表の施策の各項目にWikipediaへのリンクを貼っておきますので、ご参照ください。)

「教育非常事態宣言と教育改革」「府庁移転問題」は、公約に対応していない施策と思われます。

「情報公開」は一応、「トライ」の文言の中には含まれていますが、ここでは、文脈からいうと大阪府の事業に関しての情報公開と読めます。この時点で「基本的にはあらゆる情報」というほど徹底した情報公開を考えていたのでしょうか。

同様に、「治安・暴力団対策」、「財政非常事態宣言」「財政問題」「会計制度改革」、「大阪都構想」などは、公約の内容と全く無関係とはいえないが、公約では具体性に乏しく、そうとう膨らませた政策を実施しているように見えます。

さて、ついでに、「重点事業」の「実施状況」と「施策」を見てみましょう。「実施状況」に○がついていても、「施策」には何も記入されていないものが多いのです。つまり、Wikipediaの著者には、実施状況が○の事業でも、橋下の施策としては重視されていない、ということになります。

Wikipediaの著者が、橋下の政策を評価していないのか、大阪府の評価が甘いのか、あるいは公約がそもそも大した政策ではなかったのか。いずれにしても、奇妙な話ではあります。

話を元に戻しましょう。

要するに、公約が必ずしも実行されていない、また、公約に具体性が乏しく、政策は公約にないことをやっている、ということになります。一言でいえば、計画性がない、ということでしょうか。言い方を変えれば、臨機応変に次々と問題を提起し、あるいは解決策を提示した、ということになるのでしょうか。

実は、橋下自身、公約を重視しない旨の発言をしています。

「弁護士は委任契約書に書いてあることだけしかやってはいけないけれど、政治家はそうじゃない。すべてをマニフェストに掲げて有権者に提起するのは無理です。あんなに政策を具体的に並べて政治家の裁量の範囲を狭くしたら、政治なんかできないですよ。選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」
(〈橋下徹・大阪市長に聞く〉選挙、ある種の白紙委任 朝日新聞 2012年2月18日03時00分)

こういう考え方であれば、公約を実現しなかったこと、公約に具体性がなく、公約とは異なる政策を次々と実施したとしても、不思議はありません。

橋下が支持される理由は「政治的な理念・思想」「具体的な政策」ではなかった、ということが実証されると思います。

では次に、その施策の効果はどうであったかを検証してみましょう。


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