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橋下府知事の施策の効果

では、施策の効果はどうだったのでしょうか。引き続きWikipedia「橋下徹」「大阪府知事として」で見ていきましょう。

明らかな効果が出たのは、「情報公開」でしょうか。Wikipediaには、

2011年(平成23年)9月1日、全国市民オンブズマン連絡会議が発表した「2010年度全国情報公開度ランキング」において大阪府は満点となる70点を獲得、2007年のランキングでは都道府県で28位だった順位も1位タイへと上昇した。
とあります。

「地方分権」はどうか。

国の直轄事業の地元負担分請求について「内訳を開示しない、ぼったくりバーみたいな請求書」と批判し、7億円の直轄負担金カットを表明した。この批判をきっかけにメディアが注目し、国の内訳が公開されると出先機関の庁舎建設費、人件費、退職金などまで地方自治体に負担させていたことが各地で次々と顕在化した。このことを受けて、直轄事業地方負担金を2010年度から原則廃止となった。
「地方分権」という表題が不適切とは思いますが、これは、橋下大阪府知事の実績でしょう。

「治安・暴力団対策」についても、

翌年の2010年(平成22年)に大阪府は、11年間続いていた街頭犯罪件数全国ワーストワンと、35年間続いていたひったくり件数全国ワーストワンを返上。大阪府の犯罪認知件数は、知事就任前である2007年(平成19年)の216,303件から、2010年(平成22年)には164,096件へと24%減少し、同時期に全国の犯罪認知件数が17%減少したことを上回った。
とあります。

しかし、「治安暴力団対策」は、数字で把握するのは非常に難しい。というのは、犯罪認知率のようなものは、数字が操作可能だからです。こういう数字を少なくしようとすれば、警察が犯罪を認知しなければいい、真面目に働かなければいいのです。やり方によっては、問題は潜在化してしまうかもしれないのです。もちろん、警察官の増員、パトロールの強化などによって、犯罪が抑止されたという効果があったかもしれません。いずれにせよ、 表面の数字だけで判断は出来ないでしょう。

一連の「財政非常事態宣言」「財政問題」「会計制度改革」は、なにやらややこしい話です。

2009年(平成21年)7月30日、2008年度の普通会計の実質収支が11年ぶりに119億円の黒字になった事が明らかとなった。主な要因としては、人件費抑制などが挙げられる。

しかし同年10月28日、橋下は会見で、実際には基金からの借入金が約1500億円あったとして黒字化を事実上撤回した。

そして、さらに、
2010年(平成22年)2月8日、府が財政赤字を隠すために、5つの公社への貸付金を年度末の3月31日にいったん全額返済させて歳入とし、新年度の4月1日に改めて貸し付けていたことが、府の包括外部監査で「不当な操作」と指摘された。この一時返済がなければ853億円の赤字であった。
(「財政問題」より)

つまり、2009年度の会計も赤字であった。大阪府は、これを隠すため会計の操作をやっていた、ということですね。

2009年(平成21年)10月から翌年の2010年(平成22年)2月にかけて報道が相次いだこれらの不適切な会計処理に関して、橋下は2010年2月16日の会見で、「公会計システムがでたらめである」とし、「明治以来続いてきた現金主義」や「出納整理期間とかわけのわからない期間」などを問題点として挙げ、抜本的な改善を総務大臣に訴えていくと語った。同年3月3日、内閣府の第2回地域主権戦略会議に出席した橋下は、地方自治制度改革に関する提案書を提出。その中で、「複式簿記・発生主義会計の導入」「出納整理期間の廃止」を提案している。
(「会計制度改革」より)

そして、こういう赤字隠しの再発防止のために「会計制度改革」をおこなった、というわけです。

単純に言って、大阪府の府債残高は増加しています。

いろいろ、財政緊縮策をやったわりには、効果がなかった、ということでしょうか。一方で支出を削減しながら、他方で支出を増やしていた、ということでしょう。

大阪府、借金増大の泥沼 私立高無償化、給食…のしかかかる“橋下遺産”
2013.2.15 00:19 msn産経ニュース

そして、「会計制度改革」については、専門的な話なので、説明は省略しますが、「明治以来続いてきた現金主義」や「出納整理期間とかわけのわからない期間」は、公会計独特の必要性があってそうなっているのです。そして、民間の会計制度と同様の「複式簿記・発生主義会計の導入」をおこなっても、こういう会計上のごまかしは防止できません。このことは、民間の会社でも粉飾決算はいくらでもあることだ、といえば、複式簿記云々について知らなくても、ご理解いただけるでしょう。

「教育非常事態宣言」についてはどうでしょうか。

知事就任後、2008年(平成20年)9月5日の記者会見で、全国学力テストの成績が2年連続で低迷したことを受け、「府の現状について『教育非常事態宣言』を発する」と述べ、教育力向上への取り組みを徹底する考えを示した。
「全国学力テストの成績が2年連続で低迷した」というのは、具体的にどういうことかわかりませんが、「全国学力テストランキング」というものがあります。

「都道府県別統計とランキングで見る県民性」「全国学力テスト 2013年第一位 秋田県」

テストの内容は小学校が国語と算数、中学校が国語と数学で、それぞれ知識力を問うAと知識活用力を問うBに分かれている。ここでは2013年の公立小中学校・全教科の正答率を相加平均してランキングを計算した。
では、大阪府の全国学力テストの成績は向上したでしょうか。

この方法で計算しますと、大阪府の順位は、平成19年45位、20年43位、21年44位、22年44位、24年44位、25年45位(23年は東日本大震災の影響で中止)と相変わらず低迷しています。「非常事態」と言ったわりには、顕著な、即効的な効果はなかった、と言えるでしょう。

「大阪都構想」は、どうでしょうか。これは大阪維新の会の目玉の政策です。いまのところ(2013年9月現在)どうなるかわかりません。

大阪府と大阪市の水道事業の統合は、大阪市議会で否決されました。

「大阪都構想」においては、堺市は大阪市とともに解体され、「区」に再編されることになっています。今月(2013年9月)予定されている堺市長選では、この大阪都構想が争点になるようです。大阪都構想反対の竹山市長が再選されれば、この構想をの実現は難しくなるでしょうまた、大阪都構想を推進する橋下徹と大阪維新の会にとっては打撃となるでしょう。

「大阪府構想」は、橋下と大阪維新の会の目玉の政策ですので、これについては、改めて検討したいと思いますが、とりあえず、大阪府知事の実績としては、どうなるかわからない、ということにしておきましょう。

「府庁移転問題」これは失敗といっていいでしょう。 こちらの記述だけではよくわかりませんので、「株式会社大阪ワールドトレードセンタービルディング」をご参照ください。

この問題も、いろいろ経緯があってややこしいのですが、そもそもは、第三セクター方式で建設した「大阪ワールドトレードセンタービルディング」が赤字で、それを何とかしよう、ということで大阪府がこのビルを庁舎として購入した、ということのようです。

当初、「大阪ワールドトレードセンタービルディング」に府庁を全面移転するつもりであったが、東日本大震災でこのビルの耐震性が問題になり、結局全面移転は断念しました。

☆   ☆   ☆   ☆

というわけで、橋下大阪府知事の施策の効果は、あまり大したことはない、とりわけ、「非常事態宣言」をした財政問題、教育問題は、さしたる効果を上げていない、大騒ぎをした割には、成果がなかった、といえるのではないでしょうか。

前に紹介した「『大阪府民の政治参加・選挙に関する世論調査』報告書」で、橋下の施策は、福祉政策以外はおおむね60%から70%の人に支持されていた、ということがあります。

しかし、このアンケートは、大阪府知事を辞職して、大阪市長選に立候補したときに実施されています。

財政問題は、非常にわかりにくいです。教育問題は、効果を検証するには時間がかかります。大阪都構想もわかりにくいうえに、実現までには時間がかかる。

というわけで、このアンケートの時点では、橋下の施策の効果の検証は十分でなかった、ということではないでしょうか。今の時点で同じアンケートを実施したら、橋下の府知事としての評価は下がっているのではないかと思います。


(追記 2014年3月6日)

いささか自慢話めいて恐縮ですが、いや、まさに自慢話なのですが、上記「治安・暴力団対策」にて小生が懸念していたことがあったようです。すなわち、大阪府の警察署が犯罪件数を過少計上していたとのこと。

こちらをご参照。

(「橋下徹 府知事として」-おわり)

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