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「慰安婦は、当時は必要だった」

つぎに「慰安婦制度は当時は必要だった」を検討しましょう。もう一度、これに関する記事を掲載します

橋下氏の発言要旨=従軍慰安婦問題
時事通信 5月13日(月)21時0分配信

あれだけ銃弾が雨・嵐のごとく飛び交う中で、命を懸けて走っていく時に、猛者集団、精神的に高ぶっている集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度というものが必要なのは誰だって分かる。

小生は、橋下徹は戦争というものを理解していないのではないか、と思います。

<あれだけ銃弾が雨・嵐のごとく飛び交う中で、命を懸けて走っていく時>

こういうときには、兵隊は女のことなんか、考えていないでしょう。

そして、戦争のなかで、「銃弾が雨・嵐のごとく飛び交う」などというのは、ごく一部の話。大部分の兵隊は駐屯しています。たまに戦闘があります。戦闘というのは、戦争のごく一部分でしかありません。

戦争のなかで戦闘がない場所において、従軍慰安婦=売春などという商売が成りたつのです。

<猛者集団、精神的に高ぶっている集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、>

戦闘後の兵士が必要なのは、まずは本当に休息すること。眠ることと食べること。戦前の日本軍の兵士の話などでは、食べ物のことばかり考えていて、女のことは考えなかった、とか。

なんらかの娯楽は必要でしょう。「慰問」などというものがありましたね。ベトナム戦争における米軍では映画の上映があったらしい。

たしか、山本七平氏の本で見たのだと思いますが、戦前の日本軍では、慰安所を利用する人としない人は、はっきり分かれていたそうです。これは、今の日本で風俗を利用する人と、そうでない人が分かれているのと同じ。面白いことに独身者は利用しない、妻帯者が利用したとか。

理想的には、前線の兵士を後方に下げ、ローテーションで休暇を与えればいいのです。国に帰れば、妻や、恋人がいる。そうなれば、慰安婦制度というものは必要ではありません。そういう余裕のある戦いができるとは限りませんが。

慰安婦制度は必要だった。軍の規律を維持するためには、当時は必要だった。 歴史をひも解いたら、いろいろな戦争で、勝った側が負けた側の方をレイプするという事実は山ほどある。そういうのを抑えていくためには、一定の慰安婦みたいな制度が必要だったということも厳然たる事実だと思う。

そもそも、慰安婦制度が、兵士の性犯罪を抑止する効果があるでしょうか。そうではないような気がします。

ほとんどの男性は性欲があるはずで、だからといって、すべての男性が性犯罪を犯すわけではない、というか、ほとんどの男性は、性犯罪は犯さない。性欲は、性犯罪の原因かもしれないが、それがすべてではない。おそらく、ほとんどの男性は、自制しているのでしょう。その自制がはずれることが、犯罪の直接の原因ではないでしょうか。

もしかしたら、性欲ではなく犯罪欲のようなものがあって、それが犯罪を引き起こすのではないか。性欲を満たしたいから強姦するのではなく、強姦をしたい、というような。

<勝った側が負けた側の方をレイプするという事実>この言葉は、兵士の集団暴行を連想させますが、性欲というよりは、むしろ、攻撃性のようなものの抑制がはずれてしまったという感じ。性欲だけでは、説明しきれないような気がします。

普通の軍隊では、住民への暴行は容認しないでしょう。これを認めると、住民を敵に回すことになります。すくなくとも日本軍は、容認していませんでした。しかし、日本兵も中国戦線で、相当悪いことをやっていて、BC級戦犯として裁かれたと聞いています。これは、戦線がこう着状態で、いくら戦っても勝てない状況が続いていた時のようです。兵士がやけになった、というような感じでしょうか。「勝った側が負けた側の」という状況ではないようです。

兵士の集団での暴行事件と、兵士個人の性犯罪とは、まったく状況が異なるのではないでしょうか。平時の「慰安婦」は、兵士の集団暴行の防止には役立たないと思います。

あまり歯切れの良い議論ではありませんが、「慰安婦制度というものが必要なのは誰だって分かる。」というほどのものではない、ということは言えていると思います。少なくとも橋下のこの言葉には、科学的根拠はありません。小生の反論にも科学的根拠はないですが。

次は「米軍は風俗業活用を」について。


従軍慰安婦の実態に関する小生の見解については、こちらをご参照。


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