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橋下氏:「大誤報をやられた」 メディアの報道批判
毎日新聞 2013年05月17日 22時14分(最終更新 05月18日 07時48分)
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は17日、従軍慰安婦制度が「当時は必要だった」とする自らの発言を巡り、「大誤報をやられた」とメディアの報道を批判した。「僕は慰安婦を容認したことは一度もない。メディアは一文だけ聞いて、そこだけ取る。(誤解されたのであれば)日本人の読解力不足だ」とも語り、正式な記者会見以外の取材を今後拒否する意向を示した。
橋下氏は市役所で記者団に、発言について「必要だったから(世界各国の軍が)皆やってたんでしょ。(自分が)必要と認めたわけではない」と説明。「文脈をきちっと取って報道するのが皆さんの役目だ。『一言一句チェックしろ』というなら(取材対応を)やめます」と話した。
一連の報道について橋下氏は、最初の発言の翌日の14日、「(記事は)比較的正確に引用してくれていた」「フェアに出している」などとツイッターに書き込み、毎日新聞が掲載した一問一答について「ある意味全て」と評価。その後も「いろんな報道の仕方は、報道の自由だから仕方ない」と語っていた。
(以下略)
あれ?マスコミが誤報したのか、日本人(読者)が誤読したのか、どちらなんでしょう?
小生、橋下の当初の発言と、マスコミの報道を比較してみたのですが、たしかに、マスコミは、橋下の言わないことは報道していない、と思います。そして、当初は、橋下もそのことを認めていました。「一連の報道について橋下氏は…」以下は、小生も橋下のツィッターを確認しました。
ただし、橋下の言葉をすべて報道したわけではない。朝日新聞デジタルの全発言は7,573文字 それに対して、時事通信のニュースは748字です。単純に言って10分の1以下。そして、確かに全発言とニュースでは受ける印象は違います。
では、マスコミは、橋下の全発言を報道すべきなのか、というと、それは違うでしょう。
新聞では紙面に、放送では放送時間に限りがあります。そのなかで、マスコミは報道しなければならない。橋下の全発言を載せる、などということはできません。また、読むほうも、よほどのことがなければ、全部読まないでしょう。マスコミは、橋下の発言を要約して、報道してくれているのです。
もし仮に橋下が、自分の全発言を報道せよ、というなら、それは橋下の傲慢でしょう。
その要約(発言の取捨選択)は、どういう基準でなされるか、というと、読者(視聴者)の関心を引くもの、という基準でしょう。わかりやすい例をあげれば、小生が知恵袋で橋下批判を展開しようとも、マスコミは見向きもしない(笑)。
こう言う基準で選択される、というのもある意味で、仕方のないことでしょう。
具体的に、検証してみましょう。
「誤報」の主張「認識の違い」 慰安婦発言めぐり橋下氏
朝日新聞デジタル2013年5月29日0時3分
橋下氏は「誤報」と主張する記事の一つに朝日新聞を挙げ、「14日の見出しは『慰安婦制度必要』で出していた」「『僕が』なのか『当時』なのかを省いて『必要』とやれば、それは誤報だと僕は思います」と述べ、見出しが「誤報」と主張した。朝日新聞は14日付朝刊(大阪本社最終版)で「『慰安婦は必要』波紋 橋下氏発言」との見出しで発言に対する専門家らの反応を紹介した。
要するに、橋下は、「『慰安婦は必要』波紋 橋下氏発言」という見出しのなかで、主語と「当時は」が抜け落ち、<従軍慰安婦は、当時は必要だった>という発言が、<従軍慰安婦は(今も)必要である>と報道された、と文句を言っています。
それに対して朝日新聞はどういっているか。
「誤報」の指摘あたらない 朝日新聞大阪本社社会部長
朝日新聞デジタル 2013年5月29日0時3分
ここで挙げているのは、13日夕刊の記事と、14日朝刊の記事。
13日夕刊「橋下氏『慰安婦必要だった』」については
…記事では橋下氏の「当時の歴史を調べたら、日本国軍だけでなく、いろんな軍で(慰安婦を)活用していた」「なぜ日本の慰安婦だけが世界的に取り上げられるのか。日本は国をあげて強制的に慰安婦を拉致し、職業に就かせたと世界は非難している。だが、2007年の(第1次安倍内閣の)閣議決定では、そういう証拠がないとなっている」などとする発言も紹介した。
14日朝刊『慰安婦は必要』波紋 橋下氏発言」については
「「橋下氏が「誤報」とした記事の見出しは、13日の発言が影響を広げている状況を客観的に表現したものだ。「誤報」の指摘はあたらない。」見出しの意味は、橋下氏の発言が「慰安婦は必要」と受け取られて波紋を呼んでいる、という意味の見出しだという主張ですね。
いずれも、本文を読めばわかるでしょう、ということ。記事の見出しから受ける印象と、本文の内容が異なることはよくあります。昔からよく問題になっていたと思います。見出しだけでなく、本文を読めば、正確な内容はわかると思いますが、そこまでやらないのは「日本人の読解力不足だ」ということもあるか。
メディアが、発言の内容を記事に要約し、さらに記事の内容を見出しに要約した。出来上がった見出しは、発言内容とはかけ離れたものになってしまった、ということであれば、メディアの「誤報」か?
小生は、ある程度の「誤報」や「読解力不足」はやむを得ないような気がしますが。
政治家がメディアに取り上げられる、ということは、とてつもないメリットでしょう。ただし、それには「誤報」のリスクが付きまとう。それも、政治家としては計算に入れておくべき。
ある発言が、立場の違う人には誤解ないしは曲解される、というのは常識でしょう。政治家の発言は、不特定多数の人に聞かれています。だとすれば、政治家は、その不特定多数の人に誤解ないしは曲解されないよう、慎重に発言すべき。
橋下には、そういう政治家としての覚悟がなかった、というべきでしょう。マスコミの報道力や、日本人の読解力不足云々する、というのは、責任転嫁ではないですかね。
大誤報でもなく、読解力不足でもなく、発信力不足じゃないですかね。
さて、では、日本人は本当に読解力不足だったか?
橋下は、<従軍慰安婦は、当時は必要だった>という発言が、<従軍慰安婦は必要だ>と報道された、と文句を言っています。しかし、なぜ当時は必要で、今は必要でないかは、説明していません。<米軍は風俗業の利用を>の発言は、<米軍は売春利用を>と紙一重です。橋下は風俗業が合法、売春は非合法という区別をしていたようですが、合法的な風俗業者が、非合法の売春をやっているかもしれません。慰安婦や風俗業が兵士の性犯罪を抑制するなら、売春は、一般男性の性犯罪を抑制するでしょう。橋下は、暗黙に売春を肯定している、ということになるでしょう。
そういう意味では、<従軍慰安婦は必要だ>と読んだ読者のほうが、かえって正確に橋下の本音を理解した、ということではないでしょうか。
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