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従軍慰安婦問題発言」の狙い

さて、では「発言の意図・狙いはなにか。」「隠された狙いがあるのでは?」「寝た子を起こすような発言」「批判を浴びるに決まっている」はどうでしょう。

これは、橋下氏に直接聞けばいい話ですが、聞いても正直に答えてくれるとは限らない。というわけで、こちらで憶測するしかない。

小生の憶測を結論的に述べれば、橋下は、最近下降気味であった自分と日本維新の会の人気の回復を図ろうとして、この発言をした、ということです。最近は「橋下は賞味期限切れ」などとマスコミに揶揄されていて、橋下は危機感を持っていたようです。

この記事↓をご参照。

橋下氏「このままなら維新消滅」 参院選へ危機感
msn産経ニュースwest 2013年5月11日

「日本軍ないしは日本政府が、従軍慰安婦を強制連行した証拠はない」 「従軍慰安婦制度は、当時は必要だった」は、要するに日本人の弁護です。したがって、日本人には、基本的にはウケる。

韓国側からの批判はあるでしょうが、それに対して日本人が反発するから、橋下は支持される。

国内の批判・反発があるのも計算済み。そもそも、橋下は、目立ちたい。中身がないから、注目されていなければ、存在しないに等しい。だから目立ちたい。問題発言のほうが常識的な発言より目立つ。

兵隊は慰安婦のようなものを必要としている、というような「本音」の発言は、必ず支持者が現れる。普通人々は本音で言わない。だから、本音の発言は、本音で言わない人々の代弁になる。だから、支持者が現れる。

おおよそ、橋下には、このような読みがあったのでしょう。

そのほかに、橋下には、自民党にすり寄ると同時に、自民党との違いを出そうとしたのではないかと思います。

まずは「自民党にすり寄る」について。

5と6は矛盾するようですが、そのどちらかが正しいのではなく、どちらも正しいような気がします。

橋下の発言内容(書き起こしがあります)をよく読みますと、政府の過去の政策を是認している、ということがわかります。村山談話、河野談話を否定するものではない。現民党政府が、日本の『侵略』について、「従軍慰安婦問題について」公式見解をを発表したら、橋下の発言とほとんど同じになるのではないかと思います。

橋下は、強いものになびきます。橋下が小泉純一郎を尊敬していました。民主党が盛んなころは小沢一郎になびき、さらに、アベノミクスで勢い盛んな安倍晋三には、憲法96条改正論に賛成してゴマをすっています。

したがって、今回の従軍慰安婦をめぐる発言で、自民党にすりよるというのは、橋下の行動パターンと矛盾しません。

では、「自民党との違いを出そうとした」、というのはどういうことか。

日本維新の会は、太陽の党との合流以来、自民党に似た政党になってしまいました。このままでは、第3極の政党としての存在意義がなくなってしまいます。そこで、なんとか違いを出したい、と考えている。

では、どこで違いを出すのか。

それは、政権与党である自民党は、発言の影響を考慮すれば、本音では言えない、それに対して、野党である維新の会の代表の橋下なら、ある程度本音で言える。橋下は、本音で語ることで、自民党との差別化を図ろうとした。

政府は「日本軍ないしは政府が従軍慰安婦を強制連行したという証拠はない」と考えています。すでに述べましたが、この言葉は従軍慰安婦問題のなかの非常に限定的な事柄しか意味していないので、これだけなら事実というしかないでしょう。しかしこの言葉は、日本政府の自己弁護と受け取られ、韓国国民の非難を浴びるでしょう。韓国政府は、その言葉の正確な意味を理解しても、韓国国民は理解しない。韓国政府も、世論には逆らえない。というわけで、日本を非難するでしょう。こういうことすら、与党である自民党には言えません。

「従軍慰安婦は、当時は必要であった」「米軍兵士の性犯罪の防止に風俗産業を活用すべきだ」は、もしかしたら、自民党の一部の人の本音かもしれません。アメリカ人の中でも、この考えに賛成する人がいるかもしれません。ただ、公式な見解にはなりえないでしょう。

というのは、この2つの発言は売春の暗黙の肯定なのです。兵士の性欲を処理し、兵士の性犯罪を防止するためには、従軍慰安婦制度が必要だ、ということは、拡大すれば男性の性欲を処理し、男性の性犯罪を防止するには、売春は必要、ということになります。

米軍司令官には、合法的な風俗業を提案していますが、「風俗業」と「売春」の境界はあいまいです。

まさか、自民党や米軍が売春を肯定するわけにはいかないでしょう。韓国だけでなく全世界の、そして日本国内の人々(とりわけ女性)の非難を浴びることになります。

売春は世界最古の職業と言われています。売春が合法かどうかは、国により、時代により異なりますが、売春が正業であったことは、昔から今に至るまでなかったのではないでしょうか。つまり、道徳的には許されない。

話を元に戻しましょう。「自民党にすり寄る」と「自民党との違いを出す」は、一見矛盾しますが、橋下は、自民党の本音を代弁することで、自民党にすり寄り、かつ本音で語らない自民党との違いをだそうとした、ということになります。

下の記事が、自民党と橋下の関係を表している、と思います。

橋下氏、慰安婦発言するのは「自民が言わないから」
自民有力議員の「持論封印」姿勢を批判
J-CASTニュース 5月22日(水)18時26分配信

以上で述べた、橋下の「従軍慰安婦問題に関する発言の意図」は憶測でしかありません。あれこれ憶測しても、意味がない、と言えるでしょう。小生が、そう思いつつ憶測したのは、要するに、橋下はとんでもない奴だ、不真面目な奴だ、となんとか証明したい、という下心があるわけですね。

橋下は、「従軍慰安婦問題」「(米軍)兵士の性犯罪の問題」こういった問題を真面目に解決しようとしていないのではないか、小生はこういいたいわけです。

皆さんはどう思われますか?

「従軍慰安婦問題発言」批判、さらに続く。


従軍慰安婦の実態に関する小生の見解については、こちらをご参照。


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