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尖閣諸島の国有化は避けられなかったのか

それにしても、尖閣諸島の国有化がなければ、日中関係の悪化はなかったことは明らかです。

こういうと、そもそも、中国が尖閣諸島を狙っているのだから、どうせ日中関係は悪化する、という人がいるでしょう。しかし、仮にそうだとしても、わざわざ相手に付け入るすきをあたえることもない。出来れば、尖閣諸島の国有化をせず、現状維持で、つまり、国が賃借するという状態のままで、所有権は移転しない、ということは不可能だったのか。。

これも、全く不可能ではなかったと思うのです。ただし、都議会および国会が、東京都による尖閣諸島購入に明確に反対していれば、の話。

都議会はどういう動きであったか。

5月21日のJ-CASTニュースでは「都議会は様子見」と伝えています。<読売新聞が124人の全都議にアンケートを行った結果によると、賛成が7人で反対が13人。実に104人が「態度保留」>だったそうです。

6月21日の産経新聞は「民主・自民は前向き」としていますが、よく読めば、「公有化に賛成しているだけで、都が購入することには賛成していない」ということらしい。世論は尖閣諸島購入に賛成、購入のための寄付金は集まってはいるが、民主党内では賛否が割れ、公明は態度を表明していない。経済港湾委員会の理事会で民主の理事が<「事前の検討も必要」と海洋調査専門家の参考人招致を提案したが、自公は「まだ議案さえ出ていない中では時期尚早」と懸念を示し、結論は出なかった。>明確に反対したのは、共産党だけ。

国会のほうはどうか。6月11日に石原慎太郎を参考人として招致していますが、それ以外の報道は見当たりませんでした。

そうこうしているうちに、国が尖閣諸島の購入の検討を始め、都議会は事務方の都の調査の進捗を、国会は政府の出方を見守るような形となり、引き続き様子見。

というわけで、結局、9月になって、国の購入が決定。都議会議員も国会議員も、難しい判断とその表明を回避することができたのでした。

すでに述べたように、小生は、東京都による尖閣諸島の購入は、石原慎太郎の公私混同であり、国の専権事項である外交防衛への余計な介入、 越権行為である、と考えています。したがって、これには、都議会各会派が、また国の各政党が、与野党の区別なく一致して反対すべき問題である、と考えます。

にもかかわらず、大方の都議会議員も国会議員も様子見で、政府に下駄を預けました。要するに、都議会議員は、東京都の尖閣諸島購入に反対して世論の批判を浴びるのを恐れたのでしょう。

もし仮に、彼らが一致して東京都による尖閣諸島の購入に反対し、世論に対して説得を試みたとすれば、尖閣諸島の国有化すら必要なかったのではないでしょうか。そして、当然、中国との関係悪化も回避できた。

自分の落選をおそれて、世論を説得する義務をおこたった、議員の皆様方は、卑怯だったのではないですかね。とりわけ、永年、尖閣諸島問題の棚上げを図ってきた自民党の皆さんは。

そして、さらに言うなら、東京都の尖閣諸島購入問題で、石原慎太郎を支持した国民にも、日中関係悪化の責任はある、ということでしょう。


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