トップページへ・
「『石原慎太郎批判』の概要」へ
「小論文集」のトップへ・
「略略歴」のトップへ
前のページへ
さて、石原慎太郎は、昭和43(1968)年、参議院議員全国区で当選し、その後、昭和47(1972)年、参議院議員の任期なかばで、衆議院議員の地方区に立候補し当選(この衆議院への鞍替えも、動機不詳です)。昭和50(1975)年、いったん議員を辞職、東京都知事に立候補して落選。議員当選したのは美濃部亮吉。その後、すぐに衆議院議員に返り咲き、平成7年衆議院議員を辞職しています。
その間、議員になってから辞めるまでの間に、昭和51(1976)年12月から1年弱、環境庁長官を、昭和62(1987)年からこれも約1年ほど運輸大臣を務めています。自民党内の年功序列派閥均衡の人事の結果でしょう。
この間、彼に政治家としての目立った実績がないのはまあ当然です。議員は議会のなかのone of them に過ぎず、政策は政党が決め、議員は党の決定にしたがって投票するだけ、そして閣僚は官僚の書いたシナリオどおりに動くだけでしたから。もっとも、一議員でありながら、国政に影響力を及ぼすことの出来る影の権力者、というのがいなかったわけではないのですが。
さて、議員辞職の動機ですが、公式サイトでは次のとおり。
日本のことを「国家としての明確な意思表示さえできない、さながら去勢された宦官のようである」と断じた。そして「現在の政治に対する国民の軽蔑と不信はまさに自分自身の罪科である」と自らの非力さを詫びたのだった。
おそらく、自分の非力さを痛感したというのは本音でしょう。というのは、彼は自民党総裁の座を争って敗れています。面白いことに、公式サイトではこの部分には、何も言及していません。<なぜ国会議員をやめたの?>というタイトルはありません。
辞職の動機は不明です。日本のことを「さながら去勢された宦官」と断じたといっても、それは具体的にどういうことなのか。彼がめずらしく非力を感じるほどの強大な壁とはなんだったのか、少なくとも公式サイトでは語っていません。
もうすこし詳しく言いますと、公式サイトでは、「国会議員時代のエピソード、業績に関しては、石原の著作『国家なる幻影−わが政治への反回想』(文藝春秋)に詳述されている。」としています。この本に、そのあたりのことが書かれているかもしれない、という気はしますが、本来不特定多数のアクセスがある公式サイトであればこそ、自分が重要と考えることは簡潔明瞭に記述すべきでしょう。公式サイトにない、ということは、そのことを重要と考えていないか、あるいは語りたくないのでしょう。
本来なら、隠居はこの本を読むべきなのでしょうが、石原慎太郎がまたもや世間を騒がせているので、とり急ぎ、公式サイトには書かれていない、とだけ述べておきます。
なお、以前のWIKIPEDIAには、石原慎太郎の四男延広啓はオウム真理教の幹部であった、石原慎太郎自身同教団に資金提供を行っていた、地下鉄サリン事件が平成7年3月20日、国松警察庁長官狙撃事件が3月30日、石原慎太郎の議員辞職公表が同年4月14日である、となにやら匂わせていました。(ただし、今はその記述は削除されています。) 私には、真偽を確かめることは出来ませんが、ご参考まで。
(追記と余談)-平成25年1月12日
(その1)
その後、「国家なる幻影」を図書館で借りて読みました。そういえば、宿題になっていたな、とふと思い出したのです。
結果はどうであったか、というと、やっぱり、どうして国会議員になったのか、そしてどうしてやめたのか、わかりませんでした。彼の公式ホームページで書かれているだけのことしか、書かれていません。
さて、以下は余談。
そういう意味では、成果なし、でしたが、本としては面白かった、といえます。この本に、書かれていることが本当かどうかわかりませんが、とにかく読み物としては、面白い。政治家の回想録ですので、政治の内幕というか、そういったものが垣間見えます。まあ、石原慎太郎の自慢話と、他人をけなす話の連続ではあるのですが。
小生の読んだ石原慎太郎の本は、「新・堕落論」に続き、これが2冊目ですが、気が付いたことは、書かれているエピソードなどが、かなり重複していることです。「国家なる幻影」は結構分厚い本で、ハードカバーで669ページ、文庫本で上下2巻のトータル928ページ。その分、「新・堕落論」では、要約して書かれているエピソードの内容が詳しく書かれています。その意味で、「新・堕落論」より、わかりやすい、あるいは、真実に近い記述、と言えるかもしれません。
余談の余談になりますが、「新・堕落論」の内容は、他の著作などですでに使われたネタをずいぶん再利用しているようです。再利用してはいけない、ということはないとは思いますが、小生は、若干抵抗を感じます。
(その2)
石原慎太郎とオウム真理教の関係については、「知恵袋」で何度も蒸し返されていますので、小生もちょっと、コメントしてみました。
「時事評論集」「私もポアされかかった」2012年1月6日ご参照。
リンク大歓迎!
このWebサイトはリンクフリーです。