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石原慎太郎と公私混同

1981年 (昭和56年)、弟の裕次郎が倒れた際に、小笠原諸島から海上自衛隊飛行艇を呼び寄せて帰京し、公私混同として問題になる。燃料代は160万円かかっていた。

石原慎太郎の公私混同で、隠居の知りうる限りでは、最も古いのが上記の事例です。

弟思いの石原慎太郎のやったことだ、大目に見てやろうじゃないか、といいたいところですが、三つ子の魂百までも、で、その後、一向に改まる様子がありません。

かれが運輸大臣就任後、ヨット仲間の会合で「小網代港の魚網はヨットの邪魔だから運輸大臣任期中に取り除かせる」といったことはすでに述べました(「石原慎太郎とスポーツ」)。

都知事になってからでは、2006年11月、石原知事が就任以来、規定額を大きく上回る海外出張費(計2億4000万円)を使っていたこと、石原慎太郎知事が「若手芸術家育成」の名目で始めた「トーキョーワンダーサイト」の事業に、民間人である息子と知人を深く関与させていたことなどを、日本共産党都議団に指摘されています。

石原慎太郎はどう言っているでしょうか。

2006年11月16日、海外出張費について、

「知らないよ、私は。そういうことは事務局に言ってくれ。何も豪勢な旅行しようと思って行っているわけじゃない。直すところがあったら直したらいいじゃないですか」

「トーキョーワンダーサイト」については、四男・延啓氏を諮問委員に起用し、費用ならびに日当・支度料を都が支払っていたことについて2007年1月26日、記者会見で問われ、

「あのね、私、小さなこと知らないの。正確に報道してもらいたいけど」

まったく、公私混同した、という意識はないようですね。

問題はここにあります。大体、公私混同などというのは、自分ではわからないのが普通です。外部の人に指摘されて、初めて気づくのが普通なのです。石原慎太郎は、自分ではわからないのが普通、ということがわかっていないのです。

まず、しかるべき地位にあるひとに対しては、本人(しかるべき地位の人)の意思にかかわらず、周囲の人が気を使って、何かと便宜を図ってしまうものなのです。

たとえば、石原慎太郎があのホテルに泊まってみたい、と周囲の人にもらす。すると、それを聞いた人が、そのホテルに泊まれるように手配する。多少規定をオーバーするような、高級ホテルであれば、事務方が稟議を書いて、何やかや理屈をつけ、通してしまう。稟議を決裁する部署で、その理屈がちょっと変だな、と気づいても、そこは阿吽の呼吸で(つまり知事の意向です、ということを匂わせて)、決裁させてしまう。で、石原慎太郎は、このことに気づかない。

あやしい、と気づいたひとがあっても、正面から「これは公私混同です」、と指摘するひとは少ない。権力者の耳に逆らうようなことは、言わないほうが無難だからです。

こういうことを充分わきまえ、常日頃気をつけていないと、公私混同してしまうのです。

こういうことを知らないか、知ろうとしないか、あるいは知っていても改めない石原慎太郎には、しかるべき地位にいる資格はありません。


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