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出直し選の残したもの

橋下の仕掛けた出直し選は、何を残したのでしょうか。


法定協メンバーの入れ替えは出来なかった


橋下の言っていた法定協議会のメンバー入れ替えは出来ませんでした。

橋下は、出直し選を決意した当初から法定協議会のメンバー入れ替えをやることを想定していたのか、良くわかりません。また、どういうふうに入れ替えるのか、明確に考えていたかどうかもあいまいです。

多分、選挙に大義名分がない、と言われたころに思いついたのでしょう。このころにさかのぼって、経緯を見てみましょう。

反都構想の法定協メンバー“排除” 橋下市長の争点化に議会反発
2014/2/6 msn産経ニュース

こちらでは、<橋下市長は規約を根拠に、都構想反対の自民、民主系、共産のメンバーを“排除”する意向を表明。>となっています。つまり法定協のメンバーを維新の会と公明党の議員に入れ替えよう、というもの。

しかし翌日の記事では、
【出直し市長選】「法定協の府議枠、すべて維新も」 橋下氏、反対メンバーの一掃を示唆
msn産経ニュースwest 2014/02/07

<「(橋下は、)選挙で民意を得て、メンバーの府議を全部維新にすることもある」との認識を示した。>これは、<公明との対立が今後さらに深刻になった場合には府議枠を維新で独占させることを示唆した。>もの。

公明党のとの関係悪化については後述します。

前に述べたように、法定協議会のメンバー選出には議会の同意が必要です。大阪維新の会は、府議会でも、市議会でも過半数をしめていないので、メンバー入れ替えは困難。

大阪都構想:出直し選後、視界不良 除名府議協力に暗雲 橋下市長「勝てば法定協委員交代」
毎日新聞 2014/02/14

市長を辞職して出直し選に出馬する橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)が、大阪都構想の制度設計をする法定協議会について、委員交代の是非を選挙戦の争点にすると主張している。再選されれば「民意」を背景に、大阪府議会の議決を得て、野党多数の法定協の構成を変えるつもりだ。ただ、議決のために昨年末に維新を除名された府議4人の協力をあてにするものの、見通しは立っていない。

府議会、市議会とも、大阪維新の会は過半数を得ていないが、府議会のほうは元維新の会の府議の協力を得れば、入れ替えの提案が可決できる、ということ。「府議4人」は、昨年末、府の第三セクターの株式売却議案に反対して維新を除名され、現在は「無所属の会」に所属しています。

さて、市長選で橋下が再選された後、橋下は

 …大阪都構想の制度設計について話し合う法定協の委員について、「週内に協議会の会長に対し、ふさわしいメンバーに代えるよう申し入れる」と述べ、反対派議員の入れ替えを目指す方針を示した。

 しかし、23日夜に会見した大阪維新の会幹事長、松井一郎大阪府知事は「入れ替え」について明言を避けており、橋下氏は「僕は申し入れまではするが、政治的な部分は知事に任せます」と含みを持たせた。
「白票が多かったのはメディアの責任」 橋下市長が就任会見で
msn産経ニュースwest 2014/03/24

橋下は松井府知事に下駄を預け、結局、大阪維新の会の府議委員は5人から4人に減ることに。無所属の会の4人が除名される前に法定協の委員の会派別割り振りを決めているので、除名後は、かえって減少してしまう、というわけ。

大阪都構想:府議会の法定協 維新府議を5人から4人に
毎日新聞 2014/04/21

結局、橋下の狙っていた、選挙で勝って「民意」の圧力で大阪都構想をすすめよう、という目論見は失敗に終わりました。


公明党との関係が悪化

すでに見てきたとおり、橋下と市議会との関係は悪化していましたが、今回の出直し選を機に、さらに悪化してしまいました。

特に、公明党を敵に回してしまったことは大きい。

橋下は、公明党の「裏切り」について、「宗教の前に人の道がある」と言ってしまいました。

「宗教の前に人の道がある」共同代表辞任示唆した橋下氏、公明に怒りぶつける
2014/2/1 msn産経ニュース

橋下は、この発言が公明党との関係に重大な影響を及ぼすことに気づいていなかったらしい。

先に見たように、当初は法定協議会のメンバーを維新の会と公明党の議員で構成しようとしており、その翌日<公明との対立が今後さらに深刻になった場合には府議枠を維新で独占させることを示唆>しています。

しかし、事態はこの時点ですでに深刻でした。

「罵倒、石に刻んだ」公明と橋下氏の対立過熱
読売新聞 2014/02/08

橋下は、公明党や創価学会に対する人々の反感ないしは嫌悪感を利用して、公明党を攻撃したつもりだったのでしょう。公明党も、人々の反感ないしは嫌悪感を十分承知しておりそれゆえにこの橋下の発言は公明党の痛いところをついたわけです。

しかし、ここで「宗教」を持ち出す必要はありません。単に約束を破った、といえばいいことであり、宗教の前に人の道があるのなら、宗教なんか持ち出す必要はない。

橋下は、「宗教」を持ち出したことで、創価学会員を敵に回してしまいました。橋下は公明党だけを非難しておけば、問題は政治のレベルでの問題。公明党との政治的な関係が政治的に修復できた時には、創価学会員は公明党の指示に従って投票するから、橋下の味方に戻る可能性もあるのです。しかし、創価学会員の機嫌を損ねてしまったので、創価学会を支持母体としている公明党は橋下との関係修復なんかできません。

問題が政治的な取引とか、あるいは損得のようなものなら、修復は容易です。しかし、感情的なもつれの修復は難しい。

橋下はこれまで、公明党との協力をえてようやく大阪市議会を運営してきました。議会で公明党の協力をえられなくなれば、橋下は今後何もできないでしょう。


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